海底の先

日常や本、映画などで心が動いた瞬間を文章にします。

2020-01-01から1年間の記事一覧

なんで好きなんだろう

私が好きなテレビ番組を挙げる。 『太田伯山(太田松之丞)』『太田上田』『伯山カレンの反省だ!!』『世界はほしいモノにあふれてる』『夜の巷を徘徊する』『ヘウレーカ!』 TVerで必ず観るもの、時間があえば観るなど状況はそれぞれだけどどれも面白いんだ…

あまりに確かな衝撃・講談「いかけ松」

『日本の話芸 一龍斎貞水 講談「文化白浪 いかけ松」』 https://plus.nhk.jp/watch/st/e1_2020072624265 あっ、人間国宝の人じゃん!観よ〜!となんとも軽い気持ちで観たら衝撃を受けました。 いかけ屋という職業の松五郎の生い立ちから、悪に走るまでの物語…

アルコールで乗り越えられた日もあるけれど

なんで大人はお酒を飲むのだろうか。 大人になって社会人になって、これはなるほどと納得した。 働いて疲れて帰ったときにはもう、自由にできる時間も体力も精神力も限られているのだ。 そんなときに酒という趣向品はえらい。プシュッと缶を開けるなり瓶から…

愛するべきこと

自分のことが心底嫌いだ。しまいの果てに人間そのものの摂理とこの世界に絶望して生きるのも嫌になる。この世は醜いもので溢れている。闇を消すことは不可能だ。 先日は原爆が落とされた日であり、8月15日は終戦の日だ。この日のことを思うと、闇の中で先人…

娯楽と、芸術と、資本主義

「こんなに素敵なものがあるのをたくさんの人に知ってほしい」 その純粋な気持ちでぐわっと行動できる能力のある人があるジャンルに現れてそのジャンルが栄えていくのを見るのはとても気分が良い。 「これからも成長していくので、目を離さないでついてきて…

自殺の対策、その意味

そもそも、自殺はしてはいけないのか? 自殺してはいけないとして、それはなぜかという結論としては倫理的な面でしかないと思う。みんなが無意識的に生きることを選んでいる世界において、自殺は秩序を壊すタブーなのだ。それを「神さまからもらった命は大事…

差別について考え途中のこと

・差別をする人は弱い人だと思う。 人の弱さという引き出しは周囲の状況……経済状況だったり孤立だったり不安だったりから開かれてしまう。 差別はいけない、当然のこと。でもただただその正論を振りかざすのではなく、差別の根本になにがあるのかを考えたい…

はじめての、寄席!

神田伯山にハマりまして、(https://a2020-01.hatenadiary.jp/entry/2020/05/10/223430 ) 新型コロナ禍で閉まっていた寄席が遂に再開されたので実際に足を運んだお話です。 人数制限をして席を開けるなど対策のあるなかでの新宿末広亭7月の上席はなんとも豪…

それはただの自己愛の極み

生活のためのがんじがらめな仕事で時間をなくして思考がなくなり、自我がなくなる。 たくさんの情報にいつのまにか流されて、いろんなものに共感して、情熱に感化されて、結局自分がどうしたかったのか分からなくなる。 自分のかたちが消えてしまう前に形を…

不倫と正論、たぶん似てる

下品だな、と思う。 芸能人の不倫報道は度々起こる。今回はあの人が、次はこの人が。その度に「そんなことをする人に見えなかった」「CMの契約等の経済損失はどれくらいか」「不倫も芸の肥やしだ」「不倫相手も悪い」「子どもがいるのに」毎回同じような言…

良いものしか見てこなかった

講談師の神田伯山(松之丞)が、寄席には面白い人もつまらない人も出るからなぜウケてないかと分析するようなことをしていたというような内容をラジオで言っていたのを聞いて、ふと思ったこと。こうしたらいいのに、というような見方を私は今まで見てきたもの…

『絶滅危惧職、講談師を生きる』感想

GWに神田伯山にハマった話 - 海底の先 https://a2020-01.hatenadiary.jp/entry/2020/05/10/223430 ハマり続けておりまして、本を買いました。 神田伯山をラジオ、テレビ、YouTube…いろんなメディアで見ると、不思議に思うことがありました。なにかを突き詰…

希死念慮についての話

死にたいと初めて思ったのはいつだっただろうか? 死についての原体験を思い出していこうと思う。小学3年生くらいのときに近しい親族の葬式があった。ご遺体が棺に収められていて綺麗にされているなぁと思うと同時に恐ろしかった。大人たちがいつもは見せな…

『読書について 他二篇』 感想

ショウペンハウエル(1788~1860)による『思索』『著作と文体』『読書について』の三篇が納められている。訳は斎藤忍随。 『思索』 読書以前に我あり、だと思った。 私はいつからか、私の考えたことなど他人がすでに上手に書いているのだという考えを持って…

GWに神田伯山にハマった話

きっかけは、ファミリーヒストリー。 有名人の先祖はなにをしていたかということを調べていくNHKの番組で、2020年4月27日の放送内容が「講談師・神田伯山。100年以上前、5代前の先祖が南米に向かい、その後、消息不明になっていた。今回、その人物が…

なぜ書くのか?これでいいのか?

なぜブログを書くのか。 就職してびっくり、疲れからか自分の考えていたことみたいなものが吹っ飛んでしまった感覚があったんですね。新卒1年目なんてそんなもので仕事だけに集中するべきかもしれん。それでも自分がなくなるということに危機感があったので…

『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学するII』感想

この本は、「欲望の時代の哲学2020 マルクス・ガブリエル NY思索ドキュメント」というNHKの番組から生まれたものである。2020年2月25日から3月24日にかけて5回に分けて放送された。この番組は主張や講義ではなくマルクス・ガブリエルというドイツのボ…

『居るのはつらいよ』感想

本の紹介は本の帯に任せるとして・・・ ヤンデル先生のヨンデル選書で出会った本です。 居るのはつらいよ・・・存在の危機。その気持ちは心のどこかにいろんな形で私のなかにもいつもいる。沖縄の精神科デイケア施設で「素晴しい愛をもう一度」やゴールデン…

映画『ミッドサマー』ネタバレ注意感想 

ネタバレ注意 自分のための覚え書き 観終わったときに思ったのは「一体なにを観てしまったんだ??」である 映画をつくるのであれば伝えたいもの(教訓めいたものだけではなく楽しさやドキドキや美しさも含む)があるわけで…観終わったすぐは一体なんのための…

『どこでもない場所』著 浅生鴨 感想

病理医ヤンデル先生の選書コーナーで出会ったエッセイ集である。 どこでもない場所……このワードで脳内でヒットする記憶があった。 舞城王太郎の『煙か土か食い物』の序盤の「大体このアルバムのタイトルだってありきたりだけど超いいじゃないか。ミドルオブ…

『どこからが病気なの?』 著 市原真(病理医ヤンデル) 感想

『どこからが病気なの?』 そんなの定義ができるわけないじゃん、その上でそこを突き詰める意味はあるんだろうか?と思った。 それでも読んだのは、いんよう!(https://twitter.com/inntoyoh/status/1229712257753350145‬ )でヤンデル先生が中高生向けに本…

『あの素晴しい愛をもう一度』と自分のための独り言

「あの素晴しい愛をもう一度」とは、北山修が作詞、加藤和彦が作曲し2人の連名で発表した歌曲。1971年4月5日にレコード発売。1994年3月30日にはCDシングルも発売されている。 …Wikipediaより引用… CDシングルが発売された後に産まれた世代である私がこの曲を…

物とアイデンティティ

サブスクとは、料金を支払うことで一定の期間サービスを使う権利を買うことである。 映画や音楽のエンタメ系から盛り上がり、いまは服やバッグ、車なんかもあるのだとテレビニュースで紹介されていました。 そこで出演者が「持った瞬間に市場価値が落ちるも…

映画『ロマンスドール 』感想

小説を先に読んだうえで映画を観ました。 (小説の感想 https://a2020-01.hatenadiary.jp/entry/2020/01/19/235014) 高橋一生が演じる哲雄、蒼井優が演じる園子の夫婦の物語。 最初はやや駆け足な気もしましたが、小説よりも園子が哲雄と結婚したわけが納得…

映画『娼年』 感想

松坂桃李演じる無気力な大学生の森中領が娼夫となり、女性の欲望に触れていくうちに変化していくというストーリー。R18+指定。 映画館で上映中は応援上映での宮太鼓持ち込み禁止や、エロさだったりが話題になっていて気になっていました。 映画などのサブス…

マンガ『現実逃避してたらボロボロになった話』感想

永田カビさんの『現実逃避してたらボロボロになった話』がどんな内容かは… こちらの試し読みをどうぞ(雑) https://twitter.com/gogatsubyyyo/status/1180307439180058624 いや、感想をブログで書くにあたってこの作品が「他人に読んでもらえる形にする」こと…

小説『ロマンスドール』 感想

「妻が、○○○した。」(追記 ネタバレになりかねないので伏せ字に変更しました) というインパクトのある書き出しに少々戸惑いつつ、自然と引き込まれていきました。 ラブドール職人である哲雄と、美人で理想の妻を絵に描いたような存在である園子の夫婦の物語…