『どこからが病気なの?』
そんなの定義ができるわけないじゃん、その上でそこを突き詰める意味はあるんだろうか?と思った。
それでも読んだのは、いんよう!(https://twitter.com/inntoyoh/status/1229712257753350145 )でヤンデル先生が中高生向けに本が書けた達成感などをそれは嬉しそうに語っていて、あぁこれは私が考えたような表面上の話ではなくてなにかあるんだろうなと感じたからだ。
それが一体なんなのかはプロローグの段階で鮮やかに示してくれた。
病気の定義がどうというのは医学の話であって、「具合が悪いなーと思ったときに、どこまでは放っておいてよくて、どんなサインが出たら病院にいけばいいの?」ということに答えて初めて医療になるというのである。
「自分の行動をスイッチするきっかけ」
ぴえん。病気の定義という表面上でしか捉えられなかった想像力のなさが恥ずかしくなる。
身体に不具合が起きたときにどうするか、医師がどのようなことを考えて病気を判断しているか、病気のしくみなどを学ぶことで様々な陥りがちな誤解が防がれ、最善の病気への向き合い方が見えてくる。なんというか、非常にためになる。
この本は、中高生や初めて新書を読む人をターゲットにしたレーベルから出版されていてとても分かりやすい。
病気という領域のあまりに広い複雑なものを、様々なものに例えることで出来るだけ正確にわかりやすく楽しく伝えてくれる。そして本の全体を通してヤンデル先生の人間味というようなものがあって味わい深い。
実際の生活に利益があり、知的好奇心も満たせる、かつヤンデル先生がなんか楽しい(雑)、あとは時折ある挿絵がかわいい……なんだか宣伝みたいになってしまったけど良い本でした。