海底の先

日常や本、映画などで心が動いた瞬間を文章にします。

映画「すずめの戸締り」感想

※容赦なく結末に関わることを書くので、観てないかたは読まないでね※

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私は新海誠監督の映画のファンで、しかし「君の名は。」「天気の子」はどう捉えたらいいか分からないという気持ちだったのです。

好きなシーンがあって、その瞬間はめちゃくちゃ好きという。しかしストーリーは「うーん?」という感じ。

 

前置きはさておき。

 

すずめの戸締り、ストーリーとしてはシンプルだと思いました。そして各所に観る人の記憶や好きなものにひっかかりそうな「キー」のようなものが散りばめられている。そのため、この物語でなにを思うか、なにを主軸とするのかというのは観る人によってかなり異なると思いました。

 

私にとって短くまとめるなら、すずめが旅のなかで優しさと愛に触れて「大丈夫」と知るという物語、だと思います。

 

この映画は全編において愛に溢れています。常に愛が漂っている。

愛されている日本の街、愛を持って描かれた人間、破壊と恐怖にすら愛が漂う。

 

「夢」「もう会うことができないもの」「気が遠くなるほどの長い時間」

「約束された運命」

 

そして、出てくる人間がみんな善良なのです。

それもとても自然なかたちで…

そう、人間ってみんなだいたいはやさしいもの。

世界は思っているより安全。

 

3.11というトラウマを描いていながら、大丈夫、わたしたちは生きていけると理屈ではなく感覚に知らせてくれる物語。

 

すずめは家庭の事情はあれど、元々悩んで病んでいたとかそういう描写がされているわけでないのです。

だから、生きていけると知ったときの感動の根本にある苦しさは観ている人のものでいい。

 

その他のことについてもなにを投影するかは観る人に委ねられていて、だからストーリーとしては「弱い」んだけど、多くの人の心の情景に入ることができる映画なんじゃないかと思います。

 

 

とりあえず、部屋の掃除はできていませんが、感想が書けたので頭の中で年を越える準備はできました。

それでは、良いお年を。