海底の先

日常や本、映画などで心が動いた瞬間を文章にします。

娯楽と、芸術と、資本主義

 

「こんなに素敵なものがあるのをたくさんの人に知ってほしい」

その純粋な気持ちでぐわっと行動できる能力のある人があるジャンルに現れてそのジャンルが栄えていくのを見るのはとても気分が良い。

 

「これからも成長していくので、目を離さないでついてきてください!」

常に同じじゃだめだと分かっていて、ガムシャラに頑張る様子はとてもキラキラして見える。

 

エンタメ…娯楽を作る人たちの真摯な気持ちを知っている。そして人気やお金が集まっていないものにも素敵なものがあることも知っている。応援したいというファンの気持ちだって真摯だ。

だからこそいろんなエンタメを見ているとなんだか虚しくなってくる時がある。そのエンタメたちを素晴らしいと思えば思うほど虚しい。結局のところ、限られたパイの奪い合いだからだ。

仕方がない、エンタメというものは観ている人がいないと成立しない。

そのエンタメが伝統芸能だろうとアイドルだろうと小説だろうとなんだろうとみてくれる人を獲得せねばならないという事実は平等にあるのだ。そのジャンルが好きな人というものの人数はだいたいこのくらいと決まっていて、もっと言うなれば日本…世界における人たちが娯楽に使うことのできるお金や時間というものだって決まっているんだろう。その奪い合い。いつまでも続く資本主義の競争の世界。そこで繰り返される同じ言葉たち。私たちが楽しんで救われている娯楽の根本に渦巻く原理にふと虚しくなる。だからこそ今あるものが尊いということもあるんだろうけどね。