海底の先

日常や本、映画などで心が動いた瞬間を文章にします。

GWに神田伯山にハマった話

きっかけは、ファミリーヒストリー

有名人の先祖はなにをしていたかということを調べていくNHKの番組で、2020年4月27日の放送内容が「講談師・神田伯山。100年以上前、5代前の先祖が南米に向かい、その後、消息不明になっていた。今回、その人物がパラグアイで暮らし、柔術を広めていたことが判明する」というわけです。いや~~~すごい。意味が分からない。番組を観たら先祖たちがもうエピソードの宝庫。伯山持ってるぅ~~~~。

 

ツイッターで検索してみると「問わず語りの神田伯山」というラジオがあることを知る。「NHKでは放送できない裏ファミリーヒストリー」。へぇ面白そうだなぁと聞いたら、初っ端からあの大炎上中の「岡村隆史オールナイトニッポン」に触れる。コロナで生活が苦しくなったら美人が風俗嬢になるからそれを楽しみにしようとか言ってしまったあのラジオです。いやもう、ヒヤヒヤ。神田伯山だいじょうぶ??しかもその触れ方が、おたよりとかですらなくて、伯山のほうがやべぇぞみたいな一般人のツイートを読み上げる。えぇえええ????このラジオなんなの???生放送でもない、なんならラジオクラウドで聞いているので現在放送されているわけでもなくもう放送済みのラジオなのにもうむちゃくちゃヒヤッヒヤ!!だいじょうぶ???あなた伝統芸能の人でしょ??はじまりはじまり~~!!って、だいじょうぶ??あなたどういう価値観????なにがはじまってしまうの???

 

 

結果なんですけど、めちゃくちゃ大丈夫でした。あとすごい面白いね。下ネタとか悪口みたいなこと言うんだけど、ちゃんと笑えるんだよな。なんでなんだろうと思いつつ面白いのでずっと過去の放送クラウドで聞いて、なんかユーチューバーやってるっていうんでそれも観て。

そして思ったことが「フェミニズムに理解があるとかリテラシーが高いとかそういうので炎上しないというより、人に楽しんでもらうことに真剣な結果なんだな」ということです。

おかしみ、かなしみ、どうしようもなさ、人間のいろんな側面をひっくるめて芸として魅せて楽しんでもらうということ。人の情を表現して人に楽しんでもらうことに真剣だから、人を人間として扱わない笑いはもうウケないんだと分かっているんだなと。だけど、良しも悪しも人間味みたいなもの全部ひっくるめて全部真剣に向き合ってるから貼り付けたような定型の正論だけ、机上の空論の綺麗ごとだけみたいなものにもならない。まぁ全部勝手に感じたことなんですけどすげえや。

 

(話がずれるけど、正論や机上の空論みたいな綺麗ごとって悪いことが存在していても隠してしまったりなくしてしまったりすることがあるので害悪にすらなると私は思っています。)

 

 

テレビにコンプラなんてなくて女性の裸が出ていたような時代の話をするときに「お茶の間の気まずさ」「小3の頃に女性の裸を見た素直な気持ち」を表現するのは大丈夫だと思うんです。だけど、あの時代は良かったな~戻ってほしいな~なんてぼんやり言ったらもうつまんない、ダメなんです。でもこの一線を越えないって多分難しいんじゃないかと思ったりもして、下ネタってめちゃくちゃリスキーだと思うんですよね。文章じゃなくて話し言葉だと特になんですけど、その場の雰囲気や周囲に流れている価値観を知らず知らずのうちに取り込んで話してしまうことって多いじゃないですか。でもそんなぼんやりしたマヌケなことをしないんですよね。話のプロだなあ。

 

「子供の頃、私にとってラジオは大人の本音が聞ける場所でした。いまならネットで本音は溢れていますが、人に届く本音、言葉を選んだ本音を聞けるのは私にとってラジオだけだったと思っております」という口上が「問わず語りの神田伯山」ではあるわけです。

最初は何気なく聞いていたけれど、言葉を選ぶとはこういうことだなぁとしみじみ。

かっこいい大人だなぁ。

 

コロナが収まったら講談を観に行きます。

チケット取れますように!!