海底の先

日常や本、映画などで心が動いた瞬間を文章にします。

映画『娼年』 感想

松坂桃李演じる無気力な大学生の森中領が娼夫となり、女性の欲望に触れていくうちに変化していくというストーリー。R18+指定。

 

映画館で上映中は応援上映での宮太鼓持ち込み禁止や、エロさだったりが話題になっていて気になっていました。

映画などのサブスクNetflixで配信になっていたのを知り、視聴しました。

確かにあのシーンは太鼓叩きたくなる〜〜!笑

 

全体通してとにかく松坂桃李の演技が素敵。

最初のほうのセックスシーンが露出してるのに凄くつまらない。

そのつまらないところから領(リョウ)の心が花ひらくようにほろほろ解けていく様子が綺麗。

どんなに露出しようと、いっちばんエロいのは領の目ですね……

 

ただあれは実際にやったら痛くないのかな〜…と思うところがあって感想検索したらそう思う人はすぐ複数見つけられましたね…あれは映像の盛り上げ方として成功しているのだろうか…

 

なんだかんだで一番印象的なシーンは、学校の知り合いで枕営業ありのホストの田嶋が領に娼夫として働いていることを詰め寄るくだり。

「お前と俺は違う」という台詞が領を見下してるわけではないと気が付いた瞬間に、田嶋の領に対する印象、夜職への向き合い方について考えさせられました。

女性にオラオラと絡み自信満々に振る舞っていた田嶋の職種ではなく自分自身にある劣等感、だからこそこの世界で頑張るという感覚、昼の世界で暮らせる普通な人間だと捉えていた領が働いていたショック……

「人間は探しているものしか見つけない」という台詞が作中にあるのですけど、田嶋は「こんなんでいいのかよ」という劣等感を夜職に見つけ続けてきてしまっているのだなぁ。

わざわざ他の知り合いまで呼んできたのは、自分がそう捉えている世界から抜け出してほしかったんだねぇ。

でも、田嶋の知らないところで領が娼夫という仕事だからこそ救われた瞬間があったこと、「普通だから売れる」と領が他の娼夫から言われていたこと……

 

 

普通ってなんなんだろねぇ……