海底の先

日常や本、映画などで心が動いた瞬間を文章にします。

プログラムされた好意 シンエヴァ感想

 

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の局所的な感想です。ネタバレを含みます。

 

印象に残った好きな1つのシーンについて語るよ。かなり読みにくいかもしれない。

 

 

 

 

 

シンジを探しにきた仮称アヤナミレイに対してアスカが「私たちはすべてゼーレにプログラムされている、あんたがいまあいつに感じてる気持ちも最初からプログラムされていたもの」みたいなことを言うシーンがあるんです。

それに対して仮称アヤナミレイが「別にそれでもいい、よかったと感じるから」みたいなことを返すシーンがすごく好きで。

(細かいところが違うと思うのでもう一回シンエヴァみよう)

 

恋愛感情に近い好意って盛大な勘違いというか、脳みそが幻を体験してるだけじゃないかって冷静になることがあるじゃないですか。

この人じゃなきゃ、と思ってたとしてもそれはタイミングが良かっただけで別にそれが他の人でも同じ結果になっているかもしれない。

恋愛感情ってすごく素敵なものって表現されたりもするけど、実際そんなことなくて自分にとっては大事でも他から見たらなんの意味もないものなのだと知るときというか。

運命とかそんな素敵なものじゃなくて、脳みそのなかのドーパミンだかなんだから分からないけど、そういう物質の動物的な反応でしかないというか。

自分の意思で手に入れたものじゃなくて幻にただ振り回されているだけなんだなというか。

そんなことを考えていると段々と気持ちが悪くなって虚しさに襲われます。

 

私の奥底に残っていた虚しさが仮称アヤナミレイが躊躇わずにいう「よかったと感じるから」で癒されました。

私の虚しさと仮称アヤナミレイの状況ってベクトルが違うけど、自分の感情への疑いと虚しさを覚えそうな場面であるということで無意識的に重ね合わせてしまった。

最初からプログラムされていたものから抜け出せないからよかったと感じるのかもしれないけれど。

それでもそう感じることに気が付くことで、恋愛感情(のようなもの)を肯定して受け止めとることができるなって思ったから癒されたのだと思います。

そっか、私、よかったと思えるんだ……って感じ。

 

アスカの発言はアスカ自身もプログラミングされたチルドレンだと暗に言っていると思うんですが、アスカもシンジへ持っていた気持ちを素直に伝えるシーンがあります。

アスカの感情がどこまでプログラミングされていたか分からないんだけど、その可能性があっても感情を拒否するんじゃなくて引き受ける強さ。

そんなアスカのことも大好きだよ。