大人になるってことは、傷つかないように周りとの適切な距離を知るってことだ。
友達、家族、仕事、恋愛……そして「推し」。あんなに100%大好き!で、情報は全部知りたくって、現場は全部行きたくって、グッズも全部欲しくって、一瞬たりとも輝きを見逃したくなかった私はいずこへ。
推しの卒業とか脱退とか解散とかで、オタクはオタクなりにしっかり傷ついてしまったのだ。傷ついてしまった、というと推しが悪いみたいだけど決してそうではない。
好きが大きければ大きいほど、必ずくる終わりがきてしまったときにショックを受けるというだけのことだ。
信仰に近い好きな気持ちがなくとも、力の入った節目のイベントに行けば純粋に楽しい。それでいいじゃないか?だって娯楽だから。好きになるのが怖い。オタク的に応援するのではなく、お祭りにふらりと行けば楽しい、それでいいじゃないか。行ったら絶対に楽しい気持ちにさせてくれる場所があるって結構幸せなことだ。
社会人になって時間の制限が大きくなったことでも拍車がかかり、その気持ちは大きくなった。
オタクではなくなったけど楽しみにしていたお祭り…「こよちゃん」がいるグループの2周年記念ワンマンライブ。それは、こよちゃんの卒業公演でもあった。
めっっっっちゃ楽しかった!!!!!!!!!!!!!
応援企画で達成した可愛いセット、衣装、映像、SE……最高だった。
映像の振り返りでは、辞めちゃったメンバーの写真がたくさんあることに愛情を感じたし、アカペラカバーメドレーは今までの努力が花開いた瞬間だったし、こよちゃんが他のメンバーに慕われているのもよく分かった。
こよちゃんのパァッとした元気がグループの健やかな明るさの軸だった。
アイドル10年やってていろんな辛酸を舐めたうえでのこよちゃんの元気はすっごく強くて素敵なのだ。
今までめちゃくちゃ聴いた、こよちゃんが前のグループでやっていた曲が流れた瞬間……ボロッボロに泣いてしまった。
誠実で多幸感に溢れた卒業公演でした。
いま、めちゃくちゃに後悔しています。
もっとちゃんと「こよちゃん」とグループの輝きを、成長していく姿をみていればよかった!!!!!
オタクしていればよかった!!!!!
公式の応援企画に参加して、あの最高の一部になれたらどんなに嬉しかったことか。
後の祭りとはこのことだ。
傷つく覚悟の大きさと得られる幸福は比例するのかもしれない。
臆病になってしまっては得られないものがある。それはきっと「推し」に限らない。
好きになる勇気を、なにかに手を伸ばす勇気を、アイドルの「こよちゃん」が最後に私にくれた気がした。
こよちゃん。ありがとうと素直な気持ちで言える空間をありがとう。
アイドル卒業、おめでとうございます。