海底の先

日常や本、映画などで心が動いた瞬間を文章にします。

神田伯山の独演会で元気をもらった話

 

神田伯山先生の独演会に行ってきました。

2021年3月4日大宮ソニックシティにて!

コロナ対策で2505席のところ794席で開催。

観客席は仕事終わりのリーマン、若い女性、高齢のおばちゃんグループ、などなど老若男女さまざまでした。

 

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前座さんが「海賊退治」。

伯山先生が「人情匙加減」、「徂来豆腐」、「安兵衛婿入り」の3つのお話。

 

人情匙加減も徂来豆腐も、良い人たちが道徳的でただ教科書的に正しいんじゃなくて、がめついのが人間らしくて好き!笑いどころでもあるんだけど、現実を生きる強さが好きだ。

安兵衛婿入りは、とあるところの静寂で空気が斬れたような痺れる感覚があった。なんじゃあれ。羽織りを使う場面が大ホールで映えるのなんの。人の斬り合いや死があるのにシリアスじゃなくて、明るくて華やかなのが講談って不思議だなぁと思った。実写じゃ出すのが難しいニュアンスで、アニメとかコミック的な感覚。面白いなぁ。

 

講談の独演会に行くのが2回めの私でもちゃんとついていける分かりやすさ。所々に入れてくれる笑いでも力を抜かせてくれるし、顔がゆるむ。

だけどいつか、伯山先生がその気遣いをしなくて良い濃い場所でチューニングを合わせた講談も聞いてみたいなぁ。

 

この公演は緊急事態宣言のため、開始時間が前倒しに変更されました。

伯山先生は政治のことを言うのはあまり好きじゃない、と言いながらも20時までといったお上からの雰囲気にいろいろと思うところもあるそうで。

 

結構たっぷりやってくれたなぁと思いながら休憩のときに時間を確認すると、すでに19時30分くらい 笑

 

20時に終わらないですね、なんて笑いながら言う声が周囲から聞こえてくる。

 

最後のお話がはじまり、お話が盛り上がるところで…

 

「私に明日はございません、このまま続けてもよろしいでしょうか!」

 

ブワッと起こる大拍手!

 

「ちょうど20時ごろでございます」と茶目っ気を混ぜながら抑えめに言う伯山先生をみて、小さな共犯者のような気分になる。会場の一体感がすごい。

 

このご時世の理不尽さと無念さでたまったフラストレーションがプラスのエネルギーになるような感覚。

 

 

「辛い時もあれば花咲くときもある、人間万事塞翁が馬

3つのお話を通して伝えてくれた大きなこの一つのメッセージは伯山先生にとっても信じたいものなんじゃないかと思いました。

 

精神の危うさというかそのものみたいなものに触れられた感覚。

 

伯山先生が観客、この時代の社会を汲み取ってそのうえで表現するもの。また、講談そのものの世界。それを受け取る観客。

いろんなエネルギーが交差して一体化する。

私は導かれるがままに江戸時代と繋がり、現代の世界とも繋がる。

私は世界から分断された一人きりではなくて社会の一構成員であることを思い知る。

 

前向きなエネルギーを素直にもらったし、とにかく面白かった!!!!!!!

 

強かに生きようと思ったよ!!!!

そしてまた独演会に行きたいな。 

 

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