好きな人を自分の中に吸収して、それを時々取り出して眺める。
誰かとずっと一緒にいることはできない。私も誰か自身も、周りの環境も、常に変化していくものだからだ。相手へのお互いの感情を常に同じ熱量で永遠に保つことはできない。それがこの世の真理である。
それでも一瞬でもピースがハマって分かり合えた気になれたら、それはとても尊いことなのだ。
永遠ばかりが尊いものではないと大人になって知った。
なにかを共有していると勘違いできる好きな人といる時間を過ごすと、好きな人の好きなところが自分に移っていたりする。境界線が薄くなり、思考が雪崩れ込む。
または意識的に取り込む。
または思い出を脳に刻む。
そして好きな人の好きなところが自分自身にいつのまにかなる。私はゼロから成り立っているものではなく、好きなものをたくさん吸収した集合体である。
好き、とは恋や愛だけではないし対象物も人間とは限らなくていい。
私は好きなものの集合体であるから、いかなるときも寂しさを感じなくていい。
安心していい。
自分の中にある、好きな人の好きなところを時々取り出して眺めてみる時間がある。