10代の頃には流行っているものをチェックすることに価値観を感じていなかった。
流行歌にはその時代の恋愛観やジェンダー観、経済などなどが反映されている。
昔の曲に触れる機会があってからようやくそう気が付いたのだ。
自分の好きなものだけではなく、流行りの曲をチェックしていれば時代とズレを起こすことを減らせるんじゃないか。
思春期を過ごした時代を基準にすべてを見る大人というのがすごく怖いし、なによりそうなりたくないのである。
そう思ったのも一因としてSpotifyの有料会員に入ってみた。
サブスクで音楽を聴くというのは今では当然になっているけれど、私が10代の頃には考えられなかったのでいまでもちょっと不思議な感覚がある。
ニコニコ動画が隆盛を極めた頃は動画が良くないと曲が評価されにくいと言われていたが、サブスクは曲そのものだけだから時代の流れというか揺れ戻しを感じる。
Spotifyはランダムで曲を流すという設定があって、そのために曲の初めでボーカルの声が入って惹きつけるものが人気らしい。
最近はTikTokから短い時間でノリやすい曲が流行ることもあるし、SNSのシステムが流行歌にも影響を与えるのが今の時代なのだろう。
Spotifyに登録したはいいものの、昔の曲ばかり発掘している自分に気が付いて苦笑を禁じ得ない。
当時の様子を反映していながらも、違う時代の人の心にも響くというやってのけるのが名曲だなとも気が付く。
「恋人よ ぼくは旅立つ 東へと向かう列車で」から始まる太田裕美の『木綿のハンカチーフ』なんかはインターネットなどが発達していない時代だからこそ生まれてた歌だと思うけど、そこで描かれている違う環境で過ごす2人の価値観がズレてしまうというのは普遍的なものだから歌い続けられているんだなぁ~~