海底の先

日常や本、映画などで心が動いた瞬間を文章にします。

「恋に生きる人にはなれない」

 

恋に生きる人/ミドリカワ書房

https://open.spotify.com/track/5wSdulV6QLeZcfYZRZry4o?si=oPbKRF4nTRq_EpWSyX0QVw

 

高校生のときに初めて聴いた曲で、その時は歌詞が心の奥底に刺さるというより気怠げな歌声がなんだか好きだった。

 

「金髪が似合う17歳」ってところが1番心に引っかかったかもしれない。

17歳って校則とかでフツー金髪じゃないじゃん。元々金髪なのかなと思ったけど、「似合う」ってことは染めてる。生まれつきのものをそうは言わない。似合うんだから、背伸びしたり反抗で金髪にしたのではなく自由な意思で軽やかに金に染めた髪なんだろう。

いいなぁ、素敵な女の子なんだろうなぁと地毛の黒髪のままの高校生だった私は思いを馳せた。

 

20代後半の私はというと、歌詞の本筋がグサグサ心にきて瀕死。

恋って相手から理想を抽出して夢を見てときめくものだ。それを実感してしまうと、現実の人生のリソースを割く割合が減る。

架空の夢をずっと見ていられない。

気怠げな歌声のくせに(?)、過程を経て子どもから大人になって現実をめっちゃ見た歌じゃん。

音楽って恋や愛の表現だから「恋に生きる人」ばかり描かれるのに…

「なりたくもないんだね 不思議と

 今はそれどころじゃねぇのよ」

 

昔と感じ方が違うというか、分かるようになったのを実感するときって生きてきたことをちょっと肯定できる瞬間だからとても好きだな。