海底の先

日常や本、映画などで心が動いた瞬間を文章にします。

夢みる高校生

 いつもふわふわしていた。わたしの世界は家と学校だけであるのが現実であるはずだった。そんなことにも気が付いていなかった。

 

 家庭ではまともに感情のやり取りができる人がいなかった。学校へ行くことは義務だと思っていたからいちおう通っていた。義務教育は終わっていたけれど「高校生」が高校に行かなくて一体どうするんだ?

 

 なににでもなれる気がしていた。なににもなれない気がしていた。いつも未来ばかり考えていた。不完全感。なにかに飢えながら、なにが欲しいかも分からず、遠い世界に憧れた。

 

「スクールゾーン。 思い出すこの道が退屈だったんだ」

 

 高校生になっても人と関わる術を知らなかった。友達であったり話せる人を作るという発想がなかった。

「いちねんせいになったら ともだちひゃくにん できるかな」

 小学校1年生でもある発想が高校生1年生になかったのである!なぜだろうか。なかったというより忘れていたのだろうか。今でも分からない。

 

 あのとき欲しかったなにかは案外目の前のもので満たされたんじゃないかしらね。でもまぁ、思春期なんてそんなもんだと言われればそんなもの。

 

 いまもなにが欲しいか分からないまま焦っているから、まだ思春期なのかもしれない。それじゃあ困るんだ、25歳よ。